富士山 その2

実質その一。

朝6時に集合して東名御殿場経由、須走口五合目登山口へ。今回のメンバーは、奥さんの人と同業他社のHさん。八ヶ岳メンバー。

ふじあざみラインに入ってすぐ、たぬきが道を横切る。
その後しばらく上がったところで、道の脇からシカに見送られる。なかなか幸先良し。
ふじあざみラインは自衛隊の演習場の横を通っているせいか、山道と思えないほど道幅広く、しかもけっこうまっすぐなところが多い。
まっすぐで急勾配、というのはけっこう感覚狂って違和感ありますが、まあ安全です。

渋滞にも遭わず、8時過ぎに登山口着、9時前には登山開始。
登山指導所の方に
「上の状況わかってる?」と聞かれ「小屋に電話して聞きました」と応える。
「下山道開通してないから気をつけてね」との忠告に、お礼を言って先へ。
登山口のトイレ出たところで、奥さんの人が五合目小屋「菊屋」の客引きに捕まる(笑)。シイタケ茶をいただき、「帰りに寄るからねー」と言い残して出発。
さて、登山道入り口、いきなり
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通行止め。
というわけでこの先は自己責任。いやいつでも登山は自己責任ですが。

須走口登山道は、標高は約2000メートルで、富士宮、河口湖、の両登山口より4?500メートル低い。そのせいもあってかそれほど人気が無く、駐車場に止まっていた車も20台ほど。
まだ通行止め解除されてないし、梅雨のまっただ中とあっては当たり前かもしれません。

富士山の登山口の中では珍しく、登りはじめは樹林帯の中を抜けていく。気持ちの良い道が1時間ほど続きます。
とつぜん「ドーン」という轟音が響き「雷?」とビビる、続けて「ドーン」と音が響き、ああ、自衛隊の演習か、と気づく。「ババババラバラ」と機銃らしき音も。すぐ慣れましたが、かなり先までずっと聞こえてました。

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樹林帯抜けてもしばらく、緑の多い山道。曇り基調ですが時折晴れ間も見え、絶好の登山日より。
このへんで山頂が目の前に見えてくる。
うーん、でかいなぁ(笑)。

1時間ほどで最初の小屋、六合目:長田山荘着。営業中。一休みして先へ。
まだしばらく、緑の多い道が続きますが、だんだんと石と砂の世界へ。

だいぶ緑が減ってきたところで、本六合目:瀬戸館着。

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ふとん虫干し中。
日が差したりガスったり、とめまぐるしく天候が変わる中でしたが、きちんと干せたのでしょうか(笑)。

この先も、けっこう緑多いねぇ、などと言いながらひたすら登る。
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山道から野ウサギのように顔を出したHさん。

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本六合目と七合目のあいだにある、廃棄された山小屋跡。
このあたりから一気に傾斜が急になり、息が上がってきます。
目の前に見えている七合目の小屋がなかなか近づいてこない。
といっても、歩いていればいつかは着く、ということで、本六合目から1時間強で、七合目の「大陽館」に到着。

12時ちょっとすぎ。小屋前でお昼ご飯。
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ちょっと早いけど今日の宿はこちら。
チェックインした後、まだ早いか......山頂行って帰ってくるか(笑)、などと言っていたら、暗くなってきて、ゴロゴロと今度は間違いなく雷の音。
小屋の親父が
「雷雲来たから外出ないでねー」と声かけてくれた。
そのうちもう少し近づいてきたところで今度は
「ひどくなってきたら布団かぶっちゃってねー」
と。なんでだ(笑)?

やることもないし、メシまで寝るか、と、とっとと就寝(笑)。
夕食は5時頃。
ここの夕食は山小屋ではおなじみのハンバーグ、そしてご飯とともにおかわり自由の「とん汁」が名物。
富士山の山小屋といえば「カレー」が定番ですが、ここはとん汁出すのが売り。
「うちはツアーはお断りだからね」
と、小屋主の哲学をひとしきり伺いながらいただく。
「おーい、とん汁足りないよ、足してあげて」
いやいや十分足りてますから。

まだ明るいので、外に出てビール(735円!)飲んでると、一人登山者が上がってきた。
「降られました?」
と聞くと「いやーひどかった」と。
我々は早く出て良かったとこっそり優越感にひたりつつ、「今日はどこまで?」と尋ねると
「いやここで」
チェックイン時には「今日はお客さんたちだけですよ」と言われてましたが、4人目のお客さん(笑)。
食事の時に予約確認していた二人連れ(実は宿の勘違いでキャンセル扱いになっていた)がもうすぐ上がってくるとのことなので、今日はどうも6人になりそう。空いてます(笑)。

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とん汁と並ぶ大陽館名物 飼い犬二匹のお散歩。親子ですが両方とも10歳超えのまあ老犬。散歩も10分くらいずつちょこちょこ何度も出かけていた。

夕方になると風も出てきて、外に出ていると寒くなってくる。
部屋に戻ってしばらく、8時前まではけっこう明るかった。
御殿場や麓の街の灯がキレイに見えたり、ガスったり。
で、やることもないので就寝(笑)。

目が覚めたら月が出ていたり、時々目は覚めましたが、3時過ぎまでけっこうよく寝ました。
4時半には日が登るので、徐々に起きて支度始めます。

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というわけでご来光。

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朝日に染まる山頂。いい天気だ。

ご来光上りきったところで朝食。
まあ普通の山小屋の朝ご飯。これが富士山では貴重という話も。玉子焼きがおいしい。
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やはりご飯とお味噌汁が食べ放題。味噌汁はとん汁ではなくとうふの味噌汁。

ご飯いただいたら、支度して出発。
着る物の判断が難しいところだが、天気良さそうなので、半袖Tに腕カバーを選択。
天候変わったらすぐ着替えれば大事には至らないだろうということで。

出発は6時前。
いきなり厳しい登りで始まる。
その後ブルドーザー道と登山道が交錯したり、崩れやすくて登りにくい道が続く。
あーまだ整備中でこのへんが通行止めの理由なのかねー、などと言いながら、ヒーヒーと登る。
1時間弱で本七合目「見晴館」到着。こちらも営業中。
さらに進んで30分ほどで八合目「下江戸屋」着。
皇太子もご宿泊の小屋、とのことだがこちらはまだ営業開始前。
ちょっと休憩して出発しようとしたところで、バラバラっと雨粒。
風も出てきていたのでフリースをカッパに着替え、再出発......雨はすでに止んでました(笑)。
ここからさらに30分ほどで、本八合目。本八合目は吉田口登山道の合流地点で、小屋もたくさん営業中。ただし整備作業も進行中で、砂を満載したネコ車が行き交っている。

登山客も一気に増え、ベンチでへたり込んでいる若者も多数(笑)。
河口湖口から登る吉田口登山道は、本日通行可能な唯一の登山道ということもあって、いままでとはうって変わって賑やかになりました。

ここから最後の急登へ。とはいえ、人がたくさん、さらに下山道が通行止めなので戻ってくる人とのすれちがいでスピード落とさざるを得ず、結果けっこう楽に登れた(笑)。

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というわけで10時頃山頂着。厳密には「剣が峰」が山頂ですが、まあ伝統的にお鉢まで到着したら山頂ということで(笑)。
山頂小屋は軒並み休業中。これはちょっと厳しかった。風強いしガスってるしで眺望無し。小屋開いてないので待機も出来ず、視界がとれず危ないのでお鉢巡りも断念...というか、お鉢巡りは当初からあんまり期待してませんでしたが。

というわけでなんとか3700m越え。日本最高点まではあと70mほどありますが、登頂成功ということで、早々に下山(笑)。

何度も書きますが下山道は未整備、ということで、しかも、登ってくるときにブルだのユンボだのがせっせと働いている様も目にしていたので、素直に登山道を下山。
いやー下りは楽だ(笑)。

で、本八合目でまたまた人がぴたっといなくなり、みんな河口湖口から登ってるんだなーと改めて。
快調に下っていると、下江戸屋あたりで奥さんがちょっと体調不良。
一気に下ってきたのでやや高山病の症状があったのか。
私もちょっとクラクラ来ました。登りはほとんどなんでもなかったんですが。
あと、朝食から5時間以上たって、ややハンガーノックだったのかも。

とはいえ、まあ多少慎重に、休み取りつつ着々と下山。

本七合目見晴館についたところで、衝撃の事実が発覚。
登りに使った大陽館からの道は、下山道でした(笑)。
どうりで登りにくいはずだ。

見晴館のお兄さんに「下りどっちが良いですか?」と聞くと、登山道降りた方が無難とのことだったので、確認のためにも登山道を下山。いやーしっかりした道で下るのもこっちの方が楽だ(笑)。

というわけで2時間ほどで本日の出発地点まで戻る。登り3時間半、下り2時間。
コーヒー頼んで、携帯食おなかに入れ、しっかり休んで、本日二つ目のメインイベント「砂走り」へと望む。
ちなみに富士登山競争で有名な「大砂走り」は、御殿場口登山道。あっちの方が砂が細かくてスピード出るらしいです(笑)。

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砂走り起点。奥さんとHさんはマスク着用。

ズサーーーーーーーーー

勢い込んでスタートしたら、思った以上にスピード出る。
スキーと同じでブレーキに筋肉使う感じなんですが、まっすぐ降りると凄い疲れる、息上がる!!

というわけでこのままではヤバイと気づき、道幅いっぱいに使いスラローム(笑)。
だいぶ楽になりどんどんと高度を下げていく。
富士登山競争の、巻き上げた砂塵を後ろに従えて降りていくイメージとは違い、巻き上げた砂は重力で後ろから追いかけてくる(笑)。しかも追い風。
登山靴とスパッツのおかげで、靴の中に砂や小石が進入してくることはなく、快調に下っていく。

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もうだいぶ終盤。ちょっとヘタってきてます(笑)。

途中一カ所迂回して樹林帯に入り、また砂走り。
その後「砂払い五合目」という、営業小屋のある地点を迂回するのですが、この日は営業してませんでした。迂回損(笑)。
最後ブル道が「通行止め」になると、左手の樹林帯に入り、登山道と合流します。
※通行止め無視して直進すると、五合目駐車場に直行できるらしいですが、我々は確認しませんでした。

登山道を戻って「菊屋」で休憩。時計見たら大陽館から1時間(笑)。
砂走り、爽快です。足にはダメージそれなりに来ますが。

菊屋で、またシイタケ茶いただき、エアーで砂埃吹き飛ばしてもらい、お土産買って駐車場に戻る。
指導所から駐車場まで登りになってるんですが、これがキツイ。もう終わった気になっていたせいもあって、今日一のキツさ(笑)。

車戻ったところで雨がバラバラと。
いや本当に今回は天候に恵まれました。

なにはともあれ風呂、ということで日帰り温泉に向かう。ふじあざみライン、またシカが見送ってくれました。
しかし直線部分に入ると、アクセルオフでも高速道路なみのスピードになりそうで焦ります。危ない危ない。
多少道に迷いつつもあしがら温泉到着。残念ながら富士山は見えませんでしたが、いいお湯でした。

御殿場に戻り東名に。ソバでも食って帰るかと、足柄SAに。
入ってみたら改装中、テイクアウトの食べ物屋は充実してますが、レストラン関係があんまり充実していない。しかもなんと、ソバがない!
ソバが食えないSAがあるとは。
Hさん、「じゃあオレアメリカンドッグでいいや」
※Hさんはアメリカンドッグが大好きで、SA,PA寄ると必ず食べる。
で、外出てみたらなんと、アメリカンドッグも売ってない!!!
アメリカンドッグが食えないSAがあるとは。

というわけで仕方なく、マックのハンバーガーと、鈴廣の上げかまぼこなど賞味して(ソバとアメリカンドッグがないのにこういうのが食べられるのが中途半端な感じ)、眠気よけにとスタバで「今日のコーヒー」頼むと「今作りますから5分ほどお待ちください」
「今日のコーヒー」待たされるスタバが(以下略)。

そんな小ネタを挟みつつ、東名は渋滞無く都内へ。首都高山手トンネル高松で渋滞(ここの設計明らかに間違ってる)したものの、まあ順調に、戸田まで行ってHさん送り届け、18時に帰宅。

というわけで、当初「空いてる」という理由だけで御殿場口を予定していたのですが、7月1日の山開きの時点で、通行可になったのは吉田口登山道だけ、ということもあって、どうせ人は少ないだろうと大陽館に電話で連絡入れ、問題なく登れそうだということだったので須走口に変更。
これが大当たりでした。樹林帯から始まる登山道は変化に富んで、楽しい。
下りも砂走りでかなり楽に下れます。

行程も、山頂でご来光、にしなかったおかげで、ずいぶん楽に登れたように思いました。
真っ暗な中ヘッドライトで登頂して、一番寒い時間を山頂で待つ、というご来光登山、どう考えても何か間違ってます。
日本一高いところで日の出を見る、というのはチャレンジとしてアリだとは思いますが、登山のエキスパートが目指すことであって、旅行社がツアーで企画するようなことではないと思うのですが。

さておき初めての富士登山、思ったより楽しい山行でした。
また行くか、と聞かれると、すぐには返答したくない感じですが(笑)、理由は二度と行きたくない、というようなものではなくて、他にも登りたい山があるから、といったところで。

で、人に勧められるか、という話になると、もっと難しいです。
ただ、山小屋たくさんあるし、人はいっぱいいるし、危険なところはほとんど無いし、ということで、興味と人並みの体力のある方なら是非、といったところでしょうか。
でもフツーに、日のあるうちに登った方が楽しいですよ、きっと。


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このページは、にしだやが2010年7月 2日 09:00に書いたブログ記事です。

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